総合TOP

カメラと通信インターフェース


-通信規格のおおまかな特徴

はじめに

イメージセンサーの技術革新により、多様多様なカメラがマーケットに登場しております。
数多く存在するカメラの選定方法として、インターフェース/通信規格から選ぶ手法が挙げられます。
ご導入環境に合わせて、最重要事項を基準にご選定ください。

● 小型で簡単
GigE / USB3.0 - 接続の簡単さ、コストの削減

● ハイエンドな高速撮像
高速GigE - 通信の安定性、高速撮像、プロトコルの安定性
CoaXPress - 高速撮像、種類の豊富さ

● 特殊仕様
Mipi - 組込み用途への適正、Linuxなどの知見必須

● レガシータイプ
CameraLink - 安定通信、独自のカメラファイル仕様
IEEE1394 - 独自ボード必須の特殊仕様


- 通信スペック x 計算方法

通信規格の考え方

カメラ選定で重要となる基準がインターフェースです。
最新のセンサでは、解像度が高く1枚あたりのデータ量が大きくなります。
また、フレームレートが速いカメラには、それに応じた高帯域な通信インターフェースが必要不可欠です。
 

GigE、USB3.0といったインターフェースでは画像入力ボードなしでも使用可能ですが、それよりも高帯域なCameraLink等のインターフェースになるとカメラの信号を受信・処理するための画像入力ボート(拡張カード)が必要となります。
 
カメラからインターフェースを通じて送られるデータは、
1枚の画像データ量 [Mbit/frame] x フレームレート [frame/s] でおおよその値を試算する事が可能です。
カメラの解像度・フレームレートの関係性は、通信インターフェースの通信速度に依存します。
両項が切り離せない関係性にあるため、通信インターフェースは要求仕様に応じて選択する事が重要です。
次項に各規格の特長を紹介します。
 
※実際には画像データに付随するヘッダーデータが存在したり、インターフェースで8b/10b変換が行われるため実効レートが低くなる場合があります。
それ以外にもカメラ内部の画像処理能力の限界でフレームレートが決まる場合もあるため、正確なフレームレートを知りたい場合にはカメラのデータシートをご確認下さい。
 
以下に各インターフェースの概要を紹介します。
センサーの解像度・フレームレートの向上等が原因で、インターフェースの変更で悩まれている場合には、弊社までご相談下さい。
 

・GigE (GigE、10GigE、25GigE、50GigE、100GigE等)

 

GigEは一般的に使用されるEthernetを利用したカメラの通信規格です。
GigEの場合は帯域幅は最高1GbpsでPCに直接接続でき、ケーブル長が最長100mと長いため幅広いアプリケーションで使用する事が可能です。
上位規格100GigEでは最高100Gbpsであり、ケーブル長は光ファイバケーブルを採用することによって最長10kmまで伸ばす事が可能です。

ただしGigE規格では10GigEを超えるとデータ処理を行う拡張インターフェースカードが必要になります。
これはGigEカメラはCPUの負荷が高くなりがちだからですが、メーカーによっては拡張インターフェースカードの専用ドライバを用意しており、この専用ドライバによってCPU負荷を軽減することが可能です。

通信業界で標準的に採用されているEthernetを使用することで、Ethernetスイッチやハブを使用しマルチキャストや複数台接続が可能になるというメリットがある他、光ファイバーケーブルを使用する事が可能でケーブル長に事実上制約がない製品が登場するなど現在注目を浴びている規格の1つです。

・USB3.0

 

USB3.0は一般的に使用されるUSBを利用したカメラの通信規格です。
USB3.0の場合は帯域幅は最高5Gbpsで、一部カメラで採用されているUSB2.0では帯域幅は480Mbpsです。
基本的にはPCに直接接続することが可能であり、ケーブル長が最長3mと短いためノートPCやタブレットPC等と合わせて使用出来るため持ち運ぶアプリケーションや組み込みに向いています。

・CoaXPress (CXP-1、CXP-2、CXP-3、CXP-6、CXP-12等)

 

CoaXPressはCamera Linkの接続構成を意識して作られたデジタル出力の高帯域カメラ用の通信規格です。
接続する本数で異なりますが、帯域幅はCXP-12×4において最高50Gbps程度です。
ケーブル長は規格によって大きく異なりCXP-3以下で85m、CXP-12で25mとなっていますがケーブルの太さや環境ノイズによってケーブル長が変化するため注意が必要です。また、最近ではCoaxPress over Fiberという光ファイバケーブルを使用する新技術が発表されており、ケーブル長は大きく延長可能である事が見込めます。
CoaXPress規格のカメラの信号を受信するには、専用のCoaXPress画像入力ボードをPCに追加する必要があります。
この時カメラの制御はCoaXPress側で行うため、カメラの機種が変わっても画像入力ボードは変わらず、基本的な操作は共通で使用が可能であるというメリットがあります。

・mipi CSI-2

 

mipi CSI-2は元々は携帯電話等で使用されるデジタル出力の通信規格で、リボンケーブルを使用して省スペースかつフレキシブルに接続する事が可能です。
ただし、接続やノイズの影響が非常に大きいためケーブル長はほとんど伸ばすことが出来ません。
接続する本数(レーン数)で異なりますが、1レーンにつき1.5Gbpsとあまり帯域幅は高くないかわりに小型で省スペースが可能なため、組み込み用途で採用されています。
mipi CSI-2の信号を受信するには、主にNvidia Jetsonなどのシングルボードコンピュータが必要になります。

・Camera Link (Base、Medium、Full、Deca等)

 

Camera Linkは2000年代頃から使用されているアナログ出力の通信規格です。
接続する本数等で異なりますが最大帯域幅は2200Mbpsで、この時ケーブル長は4m程度になります。
Camera Link規格のカメラの信号を受信するには、専用のCamera Link画像入力ボードをPCに追加する必要があります。
CoaxPress同様カメラの制御はCamera Link側で行うため、カメラの機種が変わっても画像入力ボードは変わらず、基本的な操作は共通で使用が可能であるというメリットがあります。

・IEEE1394

 

IEEE1394はUSBと競合する形で1990年代~2000年代に採用されていたデジタル出力の通信規格です。
転送速度はUSB3.0よりもやや低い最高400Mbpsです。
現在、新規に採用されるケースは滅多にありません。