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カメラの選定手順

このページでは、カメラの選定する際に注意するべき条件について説明します。

・エリアスキャン・ラインスキャンとシャッター方式

エリアスキャンカメラは一般的なカメラと同じく面で撮像するカメラになります。
エリアスキャンカメラにはローリングシャッターとグローバルシャッターの2つの撮像方式があります。

センサーを1列ずつバラバラに動作させるローリングシャッターの場合、効率よくデータ転送を行うためにフレームレートが比較的高いというメリットがありますが、ピクセルの列毎に露光のタイミングが異なるため撮像対象が動いていると画像が歪んでしまうという問題があります。

センサーを全て同じタイミングで動作させるグローバルシャッターの場合、全てのピクセルが同じタイミングで露光を行うため撮像対象が動いていても正しく撮像を行うことが可能です。

ラインスキャンカメラはエリアスキャンカメラとは異なり横1列のピクセルで構成されたカメラです。
ラインスキャンカメラは一定の速度で動いている撮像対象を連続して撮像することが可能ですが、静止している物体を撮像することが出来ない点に注意が必要です。

・解像度

画素数。xxMPix、何百万画素など。欠陥検出等でカメラを選定する際には、どの程度の視野幅でどの程度の欠陥を検出したいのか?という撮像条件に応じてカメラを選定する必要があります。

解像度が高いカメラ程得られた画像に対する分解能が上がるため高ければ高いほど微小な変化を確認することが可能です。

ただし解像度が高い程データ量が大きくなるため特に組み込みデバイス等ではデバイスの処理能力について考慮する必要があります。

また、撮像対象が動いている場合には、カメラのフレームレートと露光時間についても考慮する必要があります。

・マウント(レンズマウント)

カメラとレンズを接続する規格。
カメラの筐体サイズやセンサーサイズによって使用するマウントが決まります。

変換アダプター等を使用して別のマウントのレンズを使用出来る場合もありますが画面端でケラレ等が発生する可能性があるため注意が必要です。
特に高画素カメラでは、近年のセンサーの大型化にともないマウントが大きくなる傾向にあります。

・フレームレート

1秒に撮像可能な枚数。
一般的にデータシートにおけるカメラのフレームレートはフル解像度・8bitにおけるフレームレートのスペックを指している場合が多いです。
カメラ内部のセンサー・信号処理部品・インターフェース等のさまざまな要素によってフレームレートは決まります。

このため、カメラによってはROIを設定し解像度を下げることによってフレームレートを向上させることが可能な場合もあります。カメラ毎に対応が異なりますので詳細はお問い合わせ下さい。

撮像対象が動いている場合や、変化が短時間のうちにおこる場合にはなるべくフレームレートが高く、露光時間が短いカメラを選択することが重要です。

・露光時間

1枚の画像を撮像するためにセンサーが光を計測している時間。
撮像環境の明るさに応じて露光時間を調整する事で画像の品質を向上させることが可能です。
ハイスピードカメラ等ではμ秒単位の短時間露光機能、理化学用途向けのカメラでは長時間露光機能があることが求められます。

カメラを使用する際に注意が必要なのは、フレームレートの逆数がそのまま露光時間になるわけではないという事です。
フレームレートの逆数はフレーム処理時間となりますが、フレーム処理時間には、露光時間の他にデータ処理時間やデータ転送時間も含まれます。
ハイスピードカメラ等ではそれぞれの処理を同時に行い露光時間の割合を可能な限り高くしている製品もあります。

撮像対象が動いている場合や、変化が短時間のうちにおこる場合にはなるべくフレームレートが高く、露光時間が短いカメラを選択することが重要です。

・波長

カメラに使用されているセンサーによって吸収波長の特性が異なります。
一般的なCMOSセンサーの材料はシリコンであり1100nm以上の波長を撮る事が出来ません。
基本的には可視光を撮像するためのカメラになります。

NIRやSWIR等850nm~において高感度が必要な場合にはInGaAsセンサーを搭載したカメラが最適な選択肢となります。
また、InGaAsセンサーには可視光と近赤外光の両方を捉える事が可能なセンサーもあるためアプリケーションに応じてセンサーを選ぶことが重要です。

また、撮像対象の特性・検出したい物体の特徴に合わせて照明の波長を変更し、カメラ側にはカラーフィルターを付ける事で特徴を際立たせる事も可能なため、予め把握しておきたい波長を把握しておく事が重要です。
波長毎に分けて観察を行いたい場合にはプリズムカメラやハイパースペクトルカメラが最適です。

アプリケーションによってはその他のX線カメラやUVカメラ等の特殊な波長を捉えるカメラが必要な場合もあります。

・インターフェース

カメラのデータをPC等に送る通信インターフェース(ケーブル等)の種類。
インターフェースによって帯域幅やケーブル長が異なるため要求仕様に応じてインターフェースを変更する必要があります。

詳細については、別ページを参照下さい。

・画像入力ボード・フレームグラバー
キャプチャカード、フレームグラバー。カメラから送られてきたデータを受信・処理する拡張ボードの事です。
画像入力ボードが必要なカメラの場合、基本的にはPCIeポートに空きがあるデスクトップPCが必要となります。
高速カメラや高画素カメラのような高帯域カメラの場合、カメラから受信するデータ量が多いため必ず画像入力ボードが必要となります。
また、画像入力ボードだけでなく、カメラから画像入力ボードに送られたデータを処理するPCの各パーツに関しても高スペックが求められます。

・PC
上記のように場合によってはPCの各パーツに高スペックが要求されます。
メーカー・機種によって要求スペックは異なりますが、具体的にはCPU・マザーボード・メモリ・GPU・SSD等です。
また、「描画」・「ストリーミング」・「録画」をどの程度のレベルで行うのかによって要求スペックは異なりますが、最新の高帯域カメラの場合は基本的な動作を行う際にもワークステーションが必要となるケースがあります。
高帯域カメラではなくても複数台のカメラを使用する場合には帯域幅が制限される可能性があるためあらかじめ確認する必要があります。

・動作温度

カメラの動作温度は基本的に常温の室内での使用を想定しているケースが多く、野外で使用する場合には筐体を用意する必要がある場合があります。

また、カメラによって動作温度は異なりますが、高帯域カメラは発熱量が高く、冷却のために筐体にペルチェ素子やヒートシンクやファンが付いた設計になっています。使用環境でファンや温度上昇が問題とならないかあらかじめ確認しておく事が重要です。

・サイズ

カメラ本体のサイズ。通信帯域が高いほど回路が複雑になったり発熱量が上がり放熱板やファンが必要になるため、サイズが大きくなりがちです。
mipi規格やUSB規格のカメラは比較的小さい傾向にあります。

ここでは初めてカメラを選定する際の大まかな注意点について説明しています。
現在使用されているカメラがある場合や、何か特別な使用条件あるいは機能をお求めの方は弊社までお問い合わせ下さい。