Cathodyne シリーズ
カソードルミネッセンス (Cathodoluminescence; CL)とは
加速された電子が物質に衝突し物質中の電子を励起させ、基底状態に戻る際にエネルギー準位に応じた 電磁波を出します。この現象を カソードルミネッセンスと呼び、この時放出される電磁波のエネルギー(波長)は、おおよそ1eV (≒1239.8 nm)~5eV (≒248.0nm)です。放出される光の色や強度は結晶内の不純物、歪み、欠陥などの影響を敏感に受けます。そのため岩石中の鉱物の形成過程や、 ジルコン結晶内の累体構造から年代測定点の検討などにCL法は用いられます。 ※注)ルミネッセンスは、発光の寿命から短寿命(10-8秒以下)の蛍光(fluorescence)と 長寿命の燐光(phosphorescence)に分けられます。また、蛍光と燐光の区別は発光過程もしくは遷移確率によってもなされます。 |
色情報を失わずにCL観察することは非常に重要なことです。SEMに付随するCL装置は波長分散能力を持たないと 白黒画像となります。また波長分散能力を持たせると高価な装置になってしまいます。そこで30年以上前から 光学顕微鏡とCL装置を合わせたCL顕微鏡が利用されてきました。しかしながら安定な電子ビームを得ることが 難しいという問題があり、CL光の分光も精度がよくありませんでした。
このような問題を CATHODYNE® なら解決できます。
Cathodyne®は、光学顕微鏡を用いて鉱物のCL観察を行なうためのステージです。ソフトウエア制御の電動ステージが標準で装備されます。冷陰極型の電子銃ですが、電圧電流をソフトウエアで自動調整し、熱陰極型と同程度の安定な電子ビームを得られます。また、観察窓には鉛ガラスを用いていないためCL光が弱められたり、特定の波長がカットされたりといった従来の問題を回避できます。発生するX線は対物レンズカバー(特許取得済)によってカットし安全にご使用いただけます。また、オプションで加熱や冷却することも 可能です。安定な電子ビームのおかげで良質な分光スペクトルも得られます。